論文の査読とChatGPT

そろそろ研究現場に戻るということなので、リハビリのために久々に査読を引き受けてみて作業をした。最近はテクノロジーの進化を享受するとともに、精査もかねてソフトウェアにお手伝いしてもらうことがあるのだが、今回は話題のChatGPTを使って査読作業をしてみた。

 

行った作業は10ページの論文をChatGPTに日本語に翻訳してもらって、その文章から査読コメントが自分で書けるかというもの。言わば単に翻訳にかけたものなのだが、今までは英語の文章をそのまま読み、その都度コメントをメモしていた。結果的には、時間は直接英語を呼んで査読するのとあまり差がなかった。ChatGPTの精度はかなり高いと思ったが、やはり学術用語で見慣れないところは本文を見直したのと、日本語に訳してもそれなりの量があるので内容自体に時間がかかる。使えるか使えないかに関しては、使える。課題点としては、査読コメントがやや薄くなるかもしれないと思ったこと。本文の文章を見ながら図とにらめっこする回数がいつもより減った気がする(論文自体が良く書かれていたためともいえるが)。論文を読んでの査読コメントもChatGPTに書かせることができるだろうが、これをやってしまうと自己否定なのでしなかった。

 

ChatGPTの話は別として、今回の査読は化学のTopジャーナルに投稿されたものを呼んだわけだが、もはや最近はTopジャーナル以外はなかなか引き受けたいと思うような内容の論文がこないのもあるが、この数年いつも思うが、Topジャーナルに投稿してくる中国グループのクオリティーが高い。本当に高い。日本人のTop論文の数が少なくなっていると毎年批判がでてくるが、少なくとも化学分野からすれば相対的に下がるのはもはや仕方がないと思う。チームの大きさが違いすぎるし、日本人特有の性格もあると思ってる。